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院長あいさつ

宗像水光会総合病院 院長 田山 慶一郎

 新年明けましておめでとうございます。昨年に引き続き、インフルエンザの大流行で、年末年始の病院は大忙しとなりました。コロナ禍を経て、病院としての感染症対策は万全を期していますが、それでも入院患者や職員の感染は止められず、入退院に支障を来す事態となりました。地域の総合病院としての機能を果たすために、近隣の病院と更に密な連携をとり、行政を含めて取り組んで行かねばならない問題だと思っています。

 医療の世界でもDXは驚くべきスピードで進み、AIの利用も各分野で急速に拡大しています。診療科によっては、今ほどのマンパワーを必要としなくなる科もあるでしょう。少子化・人口減少の影響で患者の減少傾向は著しく、地方の総合病院は維持困難という状況となっています。厚労省の予測では、2040年には全国の診療所の数は半減するとなっており、前述したように、感染症対策など国を挙げての取り組みが必要なはずですが、未だに具体的な動きはありません。

 そんな中、今年の水光会の目標は「『共感力』をもって医療に取り組んで行く」こととしました。「CTなど最新機器を用いれば診察技術など要らない」「AIが発達すれば医師は要らない」のでしょうか。在宅医療や診療所には高度機器は持ち運べませんし、診察して異常を発見する技術は未だに必要です。勿論、技術の進歩は大変喜ばしいことですが、病める人への共感力や、医療に携わる者の心構えは平行して必要だと思うのです。緒方洪庵先生がドイツの医師フーフェランド氏(=扶氏)が1836年に著した「医学必携」を和訳された「扶氏医戒之略」の中に次の一節があります。「医師がこの世に存在している意義は、一筋に他人の為であり、自分自身の為ではない。これがこの業の本旨である。ただおのれをすてて人を救わんことをのみ希うべし。」この言葉を医療人としての心構えとして肝に銘じた上で、最新技術を用いた診療を行うという「二つの目標」を掲げて行きたいと思っています。

 昨年もこの「二つの目標」を基本方針として診療を行って来ました。泌尿器科、婦人科でのロボット手術も症例数は大きく増加し、新しいCTスキャン装置も導入しました。また、RPA(ロボテック・プロセス・オートメーション)が導入され、今後院内でもDXは進んで行く予定です。それと同時に近隣の中・高生を対象とした「ジュニアメディカルセミナー」を開催し、「いのちの話」という講話を行ったり、市民公開講座やコミカレ(出前講座)も増やしたりなど、地域の皆様と直接触れ合う機会も積極的に設けました。

 今年は院長に就任し10年の節目の年になります。この10年取り組んできた「地域の皆様の為に、水光会がどうあるべきか」という問いに対する答えを具現化し、皆様の期待に添えるよう行動して行きたいと思っています。本年もどうぞ宜しくお願い申し上げます。

 

2025年1月
宗像水光会総合病院 院長
田山 慶一郎

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