横浜市立大学病院の「患者取り違え事件」など国内外で医療事故が相次ぎ、医療安全元年と言われた1999年より当院でも医療安全管理部門の設置が喫緊の課題でした。翌2000年4月には、全部門責任者による「医療安全対策委員会」が発足しました。その後、2003年12月に「医療安全管理室」を設置し、専任の医療安全管理者を配置。これに伴い、「医療安全対策委員会」を「医療安全管理委員会」へと名称変更しました。
当院では患者数の増加、高齢化、および高度医療の提供体制拡充に伴い、患者影響度の高いインシデントレポートの増加や患者・家族との医事紛争の対応が課題となり、専任体制では業務が限界に達しました。これを受け、2006年4月には業務の増加と医療法改正を踏まえ、医療安全管理者を専従配置とし、院内の医療安全管理体制を強化しました。
2014年には電子カルテとバーコード付きリストバンドを導入し、患者識別の精度向上を図りました。さらに2016年には「全死亡症例の検討」を目的に「クリニカルガバナンス委員会」を設立しました。
また、当初は感染対策も医療安全管理室の業務に含まれていましたが、インフルエンザやノロウイルス流行期の業務増加、および感染対策部門の人員増を受け、名称を「医療安全・感染対策室」に変更しました。
入院患者の高齢化により、フレイルを有する患者が増加し、転倒・転落事例が増加したため、2021年には院長命により「転倒転落改善チーム」を発足しました。このチームは、リストバンドの色分けによるリスク識別、入院中の靴使用の推奨、衝撃吸収マットの導入を進めました。その結果、転倒・転落による重症化率は2022年の5.5%から2023年には3.8%に削減されました。
COVID-19パンデミックの経験を踏まえ、2024年4月には医療安全部門と感染部門を分離し、医療安全管理室は医療安全業務に専念する部門として再編されました。
医療安全管理室では、「患者が安心して安全な医療を受けられる環境の整備」を目標に、日々活動を続けています。