CTとはガントリーと呼ばれる部分にある対角線上に並んだX線管球と検出器が回転し、X線管球から照射されたX線の情報を検出器で収集し、コンピューターで高速処理を行い、画像に変換する装置で全身のすべてが検査対象です。身体を切り開くことなく体内の情報を読み取れるため、疾病の診断には無くてはならない存在です。検査は寝台の上に横たわるだけで進められ、検査時の痛み等はありません。但し検査する部位によっては息を止めることが必要な場合もあります。
また、造影剤と呼ばれる薬剤を使うことにより血管、腫瘍などは、より有意な情報を得ることができます。ただし過去に造影剤を使用して吐き気などの異常を感じた人や、喘息、アレルギーのある方は造影剤の使用ができない場合がありますので、検査の担当者にあらかじめ申し出てください。
装置の開発が進み検出器が多列(16列~320列)に備え付けられるようになり1回の回転でより多くのデータを収集できるようになり検査時間が短縮されました。一般的によく見かける水平断だけでなくデータ処理により冠状断、矢状断、任意断面の構築も可能です。装置やコンピューターの発展にともない、より精細な冠状断、矢状断、任意断面の構築が可能となりました。さらに、三次元画像処理をすることにより立体的な観察も可能です。特に脳内血管、胸部血管、腹部血管などでは有意義な情報を得ることができます。検出器が多い装置では動きのある心臓の冠状動脈の三次元画像の構築も可能です。
当院では平成19年9月に64列マルチスライスCT、平成30年5月に80列CTを導入し2機体制で運用しています。従来の装置と比べ、短い息止めで広範囲に精細な画像の撮影が可能ですので患者さんの負担も大幅に軽減できます。しかもX線被ばく量が従来機器より低減が可能となり、患者にやさしいCT検査が可能となりました。
脳卒中(脳出血、脳梗塞)虚血性心疾患及び、外傷による臓器損傷等の状態を数秒から数十秒で迅速に抽出する事ができ、肺・肝臓・すい臓・腎臓・泌尿器科・婦人科領域等の微細な病変を正確に抽出する事ができます。また、最新の画像処理コンピューターを使用することによりCT-A(CT血管撮影)や複雑骨折等の3次元画像(3D)を作ることができ、診断精度をより一層引き上げる事ができます。
当院では、新しい心臓の検査であるFFRCTを導入しております。この検査では、冠動脈が狭くなって心臓に十分な血液を供給できなくなる狭心症疑いの方に対して、痛みを伴わなず血液の流れを測定できます。
従来は冠動脈CT検査で冠動脈に狭くなった部分(狭窄)が見つかった場合、その狭窄を調べるため"心臓の働きにどの程度影響を与えているのか?"追加のカテーテル検査を行っていました。 特に血管が半分程度狭くなっている場合(中程度狭窄)や複数の狭窄がある場合は冠動脈CT検査の結果だけで判断することは難しく、カテーテル検査や他の検査で調べる必要がありました。
FFRCT解析は非侵襲的検査(痛みを伴わない検査)であり、冠動脈CT検査の画像データをもとに最新のコンピュータ技術で解析を行い追加の検査は必要ありません。
そのためカテーテル検査での侵襲的な検査を行うことなく冠動脈の危険度を調べることができるようになりました。この心臓検査は、狭窄が心臓の働きにどのように影響するか、患者さん個別の冠動脈3Dモデルで解析結果を確認できます。
この詳細な情報は、これまでは侵襲的なカテーテル検査でしか得られなかったものですが、FFRCT解析の導入により、症状の安定した患者さんに非侵襲的検査での診断が可能になりました。