血管造影室では、心臓カテーテル検査、頭頚部血管造影検査、四肢血管造影検査が行われています。平成27年1月より血管造影装置も2台体制となり、定例の検査が行われている場合でも、緊急治療が必要な患者さんに、より早く治療が提供できる環境も整っています。
血管造影検査とは、脚(あし)のつけね、手首、肘などからカテーテルと呼ばれる細い管を血管内に挿入して、造影剤(血管を抽出させるための薬剤)をカテーテルから注入し、X線を用いて連続的に撮影を行い、血管を抽出する検査です。これにより全身の血管性病変(狭窄、虚血、動脈瘤、奇形、梗塞など)の診断や、緊急処置が必要な出血・梗塞または狭窄部位の特定診断を行います。当院の血管造影室では、これら血管の画像診断をはじめ、カテーテルを用いて治療を行う血管内治療(Interventional Radiology:IVR)も行っています。
これらの検査は、外科的な手術に比べて身体的負担が少ない低侵襲な血管内治療を専門医が行っています。
心臓カテーテル検査では、心臓疾患における血管形成術、ステント留置術などが行われています。また、従来バルーンやステントだけではカテーテル治療は難しいとされた高度の石灰化病変(硬い動脈硬化)には、先端にダイヤモンドチップが埋め込まれた高速回転ドリルで、冠動脈の狭窄病変を削るロータブレーターという手技と血管形成術、ステント留置術を併用して石灰化病変に対しても治療が可能です。
また、循環器領域では、不整脈に対しての治療も積極的に行われています。
不整脈が心臓内の局所的原因で生じていることが判明した場合、足の付け根などの太い血管からカテーテルを入れて、心臓内部の不整脈の原因となっている部分を小さな高周波電流で焼き切ります。その部分を焼き切ることによって不整脈の根治が可能です。手術が成功すれば不整脈の根本的な治療をすることができます。この治療をカテーテル・アブレーション(経皮的カテーテル心筋焼灼術)とよびます。当院は、3Dマッピングシステムを導入しており、安全かつ迅速に治療を行っています。
頭頚部血管造影検査では、脳動脈瘤におけるコイル塞栓術などの血管内治療や動脈硬化により頸動脈(脳に酸素や栄養を供給するために左右にある血管)が狭くなると、脳梗塞を引き起こす危険性がある部位には頚動脈ステント留置術が行われています。
四肢血管造影検査でも同様に、血管形成術及びステント留置術が行われています。