文字の大きさ標準きく

理事長あいさつ

宗像水光会総合病院 理事長 津留 英智

~医療は地域社会の一番重要なインフラです~

 昨年は1月1日に能登半島地震が発生し、大きな被害が出ました。当院からは福岡県下第4番手のJMAT隊として早期に災害支援活動に1チーム派遣しました。復旧もまだこれからの状況の中、昨年9月には同被災地が再び豪雨災害に襲われ、震災から1年経過した今でも復興が立ち遅れている厳しい現実に心が痛みます。改めてお悔やみを申し上げると共に、被災地の医療を支えていらっしゃる関係各位の皆様には心から敬意を表します。

 今年、人口減少・少子高齢化の一つの道標であり、地域医療構想の集大成・ゴールとされてきた2025年を迎えました。これまで約10年間、『地域医療構想調整会議でしっかりと議論をし、厚労省が示した各地域の病床機能別の必要病床数に早く数合わせをしなければ、団塊の世代が後期高齢者となる2025年問題で医療界は大変な事になる・・・』と、我々は散々脅されて来ました。しかし団塊世代がまだまだ若々しくお元気である事もあり、現実的には高齢化による大きな混乱を生じることはなかったと感じます。むしろ新型コロナで患者の受療行動が変化し、入院患者が減少している事や、物価高騰、人件費・委託費高騰とインフレ局面に変わり、国による医療費の財源にはキャップが掛けられたまま、2024年度診療報酬改定も期待外れの厳しい内容であった影響もあり、現在殆ど全ての病院は財政的に追い詰められ、極めて深刻な経営不振に陥っています。

 住み慣れた街に、365日・24時間、何時でも安心して診てくれる病院が近くに存在する、夜間緊急時でも必要な検査が受けられ、緊急手術が必要な時には24時間対応で、麻酔科医がいて、直ちに専門医師達による治療が受けられ、助かるべき命は確実に助けてくれる、そのような当たり前の日常は、既に過疎地域から崩壊し始めています。過疎化が進む地域では、高齢化がピークを越え、人口は既に減少に転じ、労働生産年齢人口が激減し、医療・介護職員の確保が困難となっています。また建築コストが跳ね上がり病院の建て替えが出来なくなり、電子カルテの更新を含め医療DXへの投資の財源確保も困難となっており、病院が病床規模を縮小、医療機能の維持が困難となり、いつの間にか病院が病床運営をあきらめて診療所に転換したり、病院自体が立ち消えたり、開業医の高齢化も進み継承者もいないことから、診療所も消滅するなど、医療インフラの崩壊が過疎地方から徐々に都市部へと波及しつつあります。

 『医療は地域社会の一番重要なインフラである』と言う、当たり前の日常を守る為には、健全な国民医療費の確保について国民も巻き込んだ意識改革と、国に対して医療崩壊の危機を継続して訴えて行かなければなりません。本年も、地域医療を守る為に各病院団体を通じて、様々な活動を行って行きたいと存じます。皆様のご理解とご協力、ご指導を宜しくお願い申し上げます。

2025年1月
社会医療法人水光会 理事長
津留 英智

ご来院のみなさまへ

総合メニュー