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理事長あいさつ

宗像水光会総合病院 理事長 津留 英智

2023年を迎えて
~新型コロナの終わりの始まり~

 新年を迎え皆様にご挨拶を申し上げます。新型コロナウイルス感染症の世界的パンデミックからおよそ3年が経過しました。一昨年の第5波デルタ株から、昨年の第6波、第7波、第8波では、これまでになかった感染力・伝播力を身に着けたオミクロン株が猛威を振るい、重症化に関わる毒性自体は低いものの、想定を超える新規感染者数を経験しました。デルタ株で見られた典型的なコロナ肺炎重症例は姿を消し、感染しても軽症~無症状・無症候であるため、それまでのコロナ感染対策で比較的守られて来た高齢者施設内でも、介護スタッフからの感染等で、ディフェンスラインがものの見事に破られ、あちこちの介護施設でクラスターが発生しました。勿論各医療機関でもほぼ例外なくクラスター対応に追われ、病院スタッフが全くの無症候であっても、一旦コロナ感染が陽性と判明すれば、職場を離れ自宅待機を強いられることとなり、また家庭内感染で職員スタッフが濃厚接触者となるや、たちまち医療現場からマンパワー戦力を失う事態が発生しました。その結果、通常の診療(新型コロナ感染症以外の一般の救急患者の受入等)も困難な状況となり、消防隊の救急搬送も、新型コロナ感染患者は勿論、一般救急患者も含め、救急搬送先が数時間見つからないような搬送困難症例も多数発生し、救えるはずの命が危険に晒される、いわゆる医療逼迫、医療危機、医療崩壊に近い状態を何度か経験しました。

 海外メディアの情報からは、欧米ではwithコロナを目指し、いち早く日常を取り戻すべく行動様式を変化させ、マスクも外し既に弱毒化したウイルスとの共存を成立させているようです。我が国では感染症法改定を踏まえて、感染対策を施しながらも通常の診療体制に早く戻していかなければなりません。コロナ禍で患者さんの受療行動は変化しており、コロナ前の状況に戻る事はないと認識し、我々医療提供側にも変化が求められています。また医療制度改革については、むしろコロナ禍で一気に加速化したかのように国レベルでの議論が進んでおり、2024年度には、医療・介護・障がいのトリプル改定、第8次医療計画(医師の働き方改革・地域医療構想・医師偏在対策)などが目白押しです。加えてマイナカード、電子処方箋など医療DXへの対応も今後求められています。一方で医療制度改革の議論内容を見ていると、かなり拙速かつ地域医療の現状を無視したかのような内容が含まれています。国民医療に大きなマイナスの影響が出ないよう、また医療現場に大きな混乱を招かないように、我々医療提供側がしっかりと国の動きを注視しつつ、国が推進する医療制度改革について是正すべき問題点は病院団体としてしっかりと提言をしていかなければなりません。

 本年も地域医療を守るべく、各病院団体を通じて、様々な活動を行っていきたいと存じます。皆様のご理解とご協力、ご指導を宜しくお願い申し上げます。

2023年1月
社会医療法人水光会 理事長
津留 英智

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