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理事長あいさつ

宗像水光会総合病院 理事長 津留 英智

2021年を迎えて
~新興感染症を踏まえた、新たな医療提供体制の在り方について~

 新年を迎えご挨拶を申し上げます。昨年より新型コロナウイルス感染症という目の前の脅威に振り回され、終息点も見えないまま新たな年を迎えました。日本を含む東アジアの地域では、欧米とは明らかに感染者数、死亡率が異なり集団免疫説を含む様々な学説が唱えられていますが、本来コロナは風邪の原因となるウイルスであり、敵もさるもの変異を繰り返しながら、人類との共存を図ろうとしています。治療薬開発が進み、ワクチンの効果が確認されれば、ようやく光明が見えてくるものと期待しています。

 当院は昭和40年(1965年)前身である津留外科病院(22床)として、(旧)福間町に開業してから、一貫して救急医療を主軸として地域の医療・介護・福祉・検診予防医学・看護学校教育を実践し、様々な事業展開をしてきました。平成2年に現在の地(日蒔野)に、宗像水光会総合病院として移転し早30年となります。昨年10月1月に開業から55年目を迎え、本来ですと2020年度は開業55周年として様々な記念事業を計画しておりました。しかしながら新型コロナウイルス感染拡大防止のため、予定していたすべてのイベント・プランは残念ながら中止せざるを得ませんでした。また感染症が落ち着きましたら、再度企画させて頂きたいと思います。

 さて、人口減少・少子超高齢社会に対し、これまで国(厚労省)からは、①地域医療構想(病床削減)、②医師の働き方改革(労働時間短縮)、③医師偏在対策、を行わないと我が国の医療制度は維持出来ないと散々脅されて来ました。新興感染症対策を踏まえての医療計画の見直し議論はありますが、結局新型コロナウイルス感染症を経験し、『このままでは医療が崩壊する』と叫ばれ、大きな犠牲を払ったにも関わらず、国は財源が無いからと、基本路線は変えず粛々とこれまで通りの医療制度改革を強引に推し進めようとしています。

 もっと医療現場の厳しい現実を見据えて、そもそも誰が国民の命を守るのか、誰が医療を支えていくのか、コロナ禍に於いて、医療の本質、社会保障制度の在り方、その財源の在り方についても、きちんと見直す良い機会であるはずなのに、その大事な本質を見逃そうとしています。新興感染症に負けないこれからの医療制度を再構築するためにも、そしてなによりも地域医療を守るためにも、今年も病院団体を通じて様々な提言を行っていきたいと考えます。皆様のご理解とご協力、ご指導を賜りますよう、本年もどうぞ宜しくお願い申し上げます。

 

2021年1月
社会医療法人水光会 理事長
津留 英智

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