少子超高齢社会の到来として2025年問題がいよいよ現実味を帯び、医療界も様々な対応に追われています。全国で「地域医療構想策定」がほぼ終わり、それを受けての2018年からスタートする第7次医療計画の在り方が協議され、その中でも「地域包括ケアシステム」をいかに構築するか、慢性期の受け皿としての在宅医療の充実をいかに図るのか、2017年度末で廃止となる見込みの介護療養病床の行方にも注目が必要です。
地域医療構想策定に全国で多くの医師がかかわり『病床削減ありきでは無く、限られた医療資源で、地域医療をどう守るのか』という視点で多くの協議が重ねられたと思います。そこで確認されたのは、構想区域(基本2次医療圏)によって医療事情が全く異なることです。むしろこれまでが、全国画一的な医療制度改革が推し進められた結果、各地の地域医療に大きな歪、齟齬、様々な矛盾が生じていたと言うことです。
限られた地域の社会資源もフルに活用しながら、医療と介護が一体となり、高齢者が住み慣れた町で安心していつまでも暮らせるような、基盤整備、ネットワーク作りをいよいよ行わなければなりません。これには医師が様々な職種の方々との連携を行い、特に医師自身の意識改革が欠かせません。今後慢性期の病床が削減されると、在宅としての受け入れが必要となりますが、そのためには在宅・訪問診療に対応できる医師の確保が急務と言われています。そのためにも、かかりつけ医としての役割と、介護のキーパーソンとなるケアマネとの密接な連携が不可欠です。高齢独居の患者の場合、かかりつけ医は自宅での様子をうかがい知るためには、ケアマネに聞くのが効率的ですし、またケアマネも、患者さんがかかりつけ医を受診して、治療上何が問題なのか、今後どの点に注意してケアしていけばよいのか、情報を共有しておくことは重要です。
ちょっと何かが起これば安易に救急車を呼び、軽症の患者さんを疲弊した救急外来に送り込むのではなく、かかりつけ医に先ずは相談して、適切な対応をとることが求められています。また今後増加する認知症高齢者への対応も重要です。そのためにも先ずはかかりつけ医が、初期認知症患者にも対応し、適切な認知症ケアパスを有効利用して、早期診断、早期ケア介入に努めなければなりません。地域の医療・介護は、みんなで力を合わせて守っていく、今年もそのような年にしたいと思っています。皆様方のご指導・ご鞭撻をよろしくお願い申し上げます。
2017年1月
宗像水光会総合病院 理事長