外来診療では、脳卒中、頭痛、頭部外傷、めまい、てんかん、認知症、脳腫瘍など幅広い神経疾患の診療をしています。特に脳血管障害、神経外傷では急性期から慢性期・後遺症の患者さんの診療に力を入れております。24時間脳卒中治療に対応するため、夜間も脳神経外科専門医によるオンコール体制を実施しており、発症から4.5時間以内の脳梗塞症例に対して血栓溶解療法(tPA)を積極的に投与しています。2017年10月から血栓回収療法(血管内の血栓をカテーテルによって直接回収する方法)を発症6時間以内の脳梗塞症例に対して治療を開始しております。
2019年10月一次脳卒中センターの認定を取得し、24時間血栓回収療法が可能な体制を実施しています。2018年12月10日、「健康寿命の延伸等を図るための脳卒中、心臓病その他の循環器病に係る対策に関する基本法(脳卒中・循環器病対策基本法)」が可決・成立し、今後この分野での治療の進歩、予防対策が期待されております。脳血管障害の症状が安定された患者様は開業医の先生方に継続診療をお願いさせていただき、救急医療に特化した診療体制を目指しております。
近年増加している高齢者てんかんの認知度は未だ低く、適切な治療を受けられない患者様が多く存在しています。認知症と同様にてんかんもcommon diseaseでありますので、開業医の先生や薬剤師の先生と勉強会を開催することで、てんかん診療の病診連携、病薬連携を推進しています。また、片頭痛など頭痛関連の診断・治療が進歩しているため、頭痛専門医の資格を取得し2021年11月より福岡県内3カ所目の頭痛学会認定准教育施設に認定されました。病診連携により頭痛診療の向上、地域における頭痛診療の均霑化を目指しています。
当院では1.5テスラMRI装置、80列のCT装置、血管撮影装置2台を24時間稼働させており、脳血管障害急性期症例では迅速に対応できる体制を整えております。超急性期の血栓回収療法や脳動脈瘤コイル塞栓術など血管内治療を24時間実施可能にするため、2021年2月に最新のバイプレーン血管撮影装置(Philips Azurion B20/15)を新規購入し病院全体では血管撮影装置3台体制となり血管内治療がより迅速に実施できるようになりました。
日本脳ドック学会の認定施設として、脳ドック学会のガイドラインに厳格に準拠し、慎重な診察・読影を脳神経外科医が行い、神経放射線科医にも読影してもらいダブルチェックを実施しています。診察後は時間をかけて検査結果を受診者に脳神経外科医が説明し、生活習慣病の指導をしています。
詳しい内容については、「脳ドック」をご覧ください。
手術名 | 2022年度 | 2021年度 | 2020年度 | ||
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腫瘍摘出 | 頭蓋内腫瘍摘出術 | 0 | 2 | 5 | |
開頭クリッピング | 脳動脈瘤頸部クリッピング | 1 | 3 | 3 | |
開頭AVM摘出 | 脳動静脈奇形摘出術 | 0 | 1 | 0 | |
血腫除去 | 頭蓋内血腫除去術 | 脳内 | 4 | 9 | 7 |
硬膜下 | 2 | 6 | 5 | ||
硬膜外 | 0 | 0 | 2 | ||
脳室ドレナージ | 6 | 10 | 3 | ||
神経内視鏡手術 | 内視鏡下脳内血腫除去術 | 5 | 9 | 6 | |
脳神経手術(開頭して行うもの) | 0 | 1 | 0 | ||
シャント手術 | 水頭症手術 | 4 | 1 | 9 | |
穿頭手術 | 慢性硬膜下血腫穿孔洗浄術 | 19 | 20 | 19 | |
脳血管内手術 | 動脈瘤塞栓術 | 9 | 16 | 7 | |
経皮的頸動脈ステント留置術 | 3 | 8 | 7 | ||
経皮的脳血管形成術 | 1 | 2 | 1 | ||
経皮的脳血栓回収術 | 19 | 14 | 13 | ||
血管塞栓術 | 1 | 2 | 2 | ||
その他 | 頭蓋骨形成術 | 0 | 3 | 0 | |
減圧開頭術 | 2 | 1 | 2 | ||
試験開頭術 | 1 | 0 | 0 | ||
脊髄ドレナージ術 | 7 | 9 | 7 | ||
気管切開術 | 5 | 12 | 7 | ||
頭蓋内腫瘤摘出術 | 0 | 0 | 1 | ||
脳切除術 | 0 | 0 | 1 | ||
総数 | 89 | 129 | 107 |
分類 | 2022年度 | 2021年度 | 2020年度 | |
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脳腫瘍 | 3 | 7 | 8 | |
脳血管障害 | 脳内出血 | 56 | 52 | 50 |
くも膜下出血 破裂性脳動脈瘤 | 11 | 19 | 14 | |
(クリッピング術) | (1) | (3) | (2) | |
(コイル塞栓術) | (6) | (10) | (8) | |
未破裂脳動脈瘤 | 14 | 11 | 3 | |
脳梗塞 | 139 | 120 | 140 | |
(脳血栓回収術) | (19) | (13) | (10) | |
(tPA使用) | (22) | (13) | (10) | |
(頚動脈ステント留置術) | (0) | (1) | (2) | |
その他脳血管疾患 | 4 | 6 | 7 | |
外傷 | 急性硬膜外血腫 | 0 | 2 | 1 |
急性硬膜下血腫 | 12 | 12 | 14 | |
くも膜下出血 | 6 | 9 | 11 | |
脳挫傷 | 6 | 4 | 6 | |
慢性硬膜下血腫 | 15 | 13 | 23 | |
水頭症 | 2 | 0 | 4 | |
脊髄・脊椎 | 0 | 0 | 3 | |
てんかん | 27 | 33 | 53 | |
その他 | 47 | 61 | 46 | |
総計 | 342 | 349 | 383 |
No. | 学会発表の演題名 | 発表者名 | 発表学会 | 発表日 場所 |
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1 | 脳内出血で発症した成人頭蓋内pial arteriovenous fistulaの2例 | 木下良正、安河内秀興、江藤 歩、原田篤邦、津留英智 | 第78回日本脳神経外科学会総会 | 2019.10.11 大阪 |
2 | Arterial spin labelingが有用であった中大脳動脈解離様所見を呈した頭痛発作の1例 | 木下良正 | 第47回日本頭痛学会総会 | 2019.11.15 埼玉 |
No. | 論文の演題名 | 執筆名 | 雑誌 | 発表年 |
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1 | 中大脳動脈閉塞症─ 閉塞した動脈分枝を血栓回収術前に迅速に画像化できるのか | 木下良正 | INNERVISION 84-85 | 2019 |